30代のときは徹夜で仕事をしてもそれほど辛くなかったのに、40歳を超えてくると急に体の衰えを感じてきます。
そして、40代に入り半ばくらいまで歳をとると、その先の50代やその先の人生も薄っすらと見えてくるといいます。
50代の先輩方がまだ現役でお店で奮闘をしているのを見てあなたは。
「この仕事を55歳までには辞めよう」…と
勝手に期限を決めてしまっていませんか?
すでにご存知かも知れませんが、現在、日本人の平均寿命は伸びています。
政府が発表しているデータで2015年度時点の平均寿命で、男性は80.79歳、女性ですと87.05歳、男女平均の寿命ですと84歳となります。
仮にあなたが現在44歳だとすると、あと40年間は生きていることになります。
このように寿命が伸びてきている今、あなたは飲食店経営者としてどのような“ライフプラン”があるでしょうか?
ちなみに私は現在45歳です。
少なくてもあと40年は生きているわけです。
友人との話でこんなことを聞いて驚きました。
「俺は55歳を過ぎたら田舎に帰って引退するよ!」
残りの“人生のほうが長い”と考えたら、そんな悠長なことを言っていられないと、私は思うのです。
人生80年だとして、飲食店経営者としては「今後どのような思考を元にした生き方をしていけばいいのか」を解説します。
引退は死んでからでいい
正直に申すと、今あなたがこの仕事から“リタイヤ”や“引退”を考えている時点で、今の会社やお店の経営は危ういといえます。
なぜなら、引退をしてもその後すぐに行動に移せる“具体的なプラン”がないからです。
このままリタイヤするにしても。
どのような形でリタイヤをするのか?
その後はどのようなことをして、死ぬまでの資金を用立てていくのか、を今から考えておくべきだと思うのです。
都市部で飲食店を経営しているオーナーの多くは引退と称して。
頑張って店舗展開していた全てのお店を畳み、人気の少ない田舎に店を出してそこでノンビリと人生を過ごす、このように語り出すかたは思いのほか多いです。
しかし、この考えで田舎で店を出すことは極めて危険です。
悪いことは言いません、止めておいたほうがいいでしょう。
田舎でノンビリできたらいいかもしれませんが、体が衰えてきても病院は近くにはないし、お客さんの数だって都市部と比べても多くはありません。
それに、この話はあまりしたくないのですが、もし、田舎でお店を出店して失敗してしまったら、このあと84歳くらいまで生きなければならない人生が悲惨になります。
都市部は大変だから田舎のほうが良い、は正直申し上げて妄想ですし、現実はそんなに甘くはないです。
それでも、田舎でお店を今後やるならば、体がピンピン動く40代のいま行くべきだと思います。
あと何年続けるのか?
いまのお店を始められて、出口はいつにするのか考えていない、もしくは決めていない店主やオーナーは多いです。
もちろん、立派な跡継ぎが居るならそれに越したことはありません。
しかし、世間的に考えても中小企業は後継者が不足しています。
そのような中、あと何年間現在の場所でお店を続けるのか?
また移転を考えているのであれば、いつくらいまでに移転をするのか?
をいまから“プランニング”しておいたほうがいいでしょう。
できれば、これらのプランはあなたの体の動くうちに進めておきたいものです。
あと、移転や閉店をするにしても資金をどうするのかは、必ず考えておいたほうがいいです。
資金がなければその後の人生で今よりも大変な苦労をすることになります。
もし、お店が造作譲渡などで売れたとしても、それは一時的に生じている余剰資金であり、そのような資金はすぐに消えてしまいます。
注意してほしいことがあります。
それは、移転をする際に“多額の借金”をしてまで移転をしないことです。
借金をするにしても、無理のない範囲に留めておくべきです。
84歳まで現役でいるのかそれとも…
40代ですとまだまだ健康状態はいいですし、体力も30代の頃と比べると衰えてきているとはいえまだまだ体は動きます。
しかし、人間は嫌でも歳をとっていくものです。
年齢を重ねるごとに体力や気力と落ちていくのが世の常です。
それらを見越して考えていただきたいことがあります。
今後あなたが84歳になるまでに
1)店を続ける=自分が店に立ち続ける
2)店を続ける=法人格にして誰かにお店を任せる、自分は経営だけする。
店を続けるのであれば、前述した2つの方法のどちらかに分かれてくると思われます。
できれば店の存在も大事だけど、もっと選択肢は欲しいのではないでしょうか?
仮に、店を続けたくても“身体的な問題“で続けられない状況になったとき、どうすればいいのでしょう。
そのときに店や会社に借金が残っていれば店は閉めているのに、借金は返さなくてはならない人生となってしまいます。
そうなると。
どこかで働くと言っても満足のいく収入が得られないのに、借金を返さなくてはならない日々となります。
そして、“自分が食べていくのがやっと”の残りの人生となります。
いま頑張って売上を上げておき、早い段階で会社組織して社員を雇い教育をしておけば。
もし、自分が倒れて病院のベットで横たわっていたとしても、社員たちが頑張って売上を上げていき、自分は毎月決まった収入を得ることができます。
この話がすべてとは言いませんが、40代のときに考えて何かしらの行動をしていなければ、「もしものとき」にどのような行動をしていいのか分からないのではないでしょうか?
商売において危険な数字
私はいままで職人として料理ばかりをしてきました。
料理人としては手前味噌で恐縮ですが、料理においてはやりたいことはやり切ったと思っています。
それらは雇われの時で一旦は終わったと、今でも思っています。
しかし、かねてからの夢でもあった自分で独立開業をして店をもつことで感じたことがあります。
実際、料理とは別のスキルが必要なのだと店を経営してみて、初めて理解したことでした。
お店を開業するということは、どんなに小規模であっても経営となります。
経営についてなにも知らない私は、必要だと思われるスキルを獲得するために、積極的にお金と時間を投資しました。
その甲斐もあり、店は繁盛して当初あれほど苦しい思いをした資金にも余裕が生まれました。
いまになって思い返して見て、繁盛するために必要なことは、得意とする料理を作る以外にも新しいスキルを得たことだと思います。
マーケティングスキル、コピーライティングスキルです。
いまでは、この新たなスキルから派生させ新しい事業も起こし、そちらでも収益を得ることができています。
なぜ、私がお店を繁盛させただけで満足せずに、あらたな“スキル“を獲得してさらに時間とお金を投資しているのかですが…
全て人生80年時代に備えるためです。
前述したように、現在40代のかたはあと軽く40年は生きていると考えたら、どうしてもお金は必要です。
正直申し上げて、政府は自分たちのことしか考えていないので、そうなると自分の身は自分で守るしかないと私は思うのです。
だから、体が動く今しかできない新たな“スキル習得”、“お金を生み出す仕組み作り”、“新たな会社を設立”するなど、楽ではないですが少しづつ行っています。
商売を継続していくにあたり“1”という数字は最も危険な数字です。
例えば、あなたが販促活動を行っているなかで1つのことだけを行う。
もしくは成果の出たことだけを一つだけ行っているとしたらどうでしょう。
その販促の成果が落ちた途端に、あなたの商売も終わってしまいます。
これはお店でも同じことです。
いまあなたが、どのくらいの店舗数をお持ちなのか分かりませんが、仮に1店舗だけの場合…
その1店舗が何かの拍子で潰れることになったら、経営者であるあなたの商売だけでなく人生も終わってしまいます。
そのように考えると、いま40代の飲食店店主やオーナーは、あと40年間はお金が必要です。
それにはどのような計画で、お金だけではなくヤリガイや生きがいを生み出していくのか、を考えていなくてはならないのです。
やるべきことを考えて行動
40〜50代前半の比較的に体が動く時にしかできないことをすべき、という話をしました。
この年齢の期間の間に、どのように“行動するのか”で、その後の人生が決まってしまうかもしれない。
そのためには、どう飲食店の店主人生を過ごすのかを考えなくてはならない、という話もしました。
しかし、
『新たなスキルを獲得なんてできない、俺にはこれしかない!生涯現役でできればいい!!』
と考えている方にお伝えしたいのですが、生涯現役でもいいですし、それは素晴らしい選択かもしれません。
だけど、想像してみてほしいのですが、年をとるごとに確実にいまより体は動かなくなります。
そうなると、集客活動もできなくなるし、料理やサービスを行う動作だって鈍くなります。
ということは、いまの売上高を維持できなくなります。
以上のようなことを、生涯現役を考えているならば念頭において。
このあとも40年間ある人生を「どのように生きていくのか?」人生計画が必要ですし、考えておくべきだと思います。
間違いなく、「これだけは言える」ことがあります。
いまできることは、できるだけ前倒しで行っておくことです。
そのためには、お店をさらに繁盛をさせて売上を伸ばし利益を増やして、もしものための資金を作っておくことです。
くれぐれも、儲かったからといって“豪遊”することがないように、人生設計をしておきたいものです。